2. ラーン川沿い(Lahnwanderweg)[ハイキング in ドイツ]バートエムス ⇒ ダウゼナウ ⇒ ナッサウ城

こんにちは。なかしま です。

ライン川の支流のひとつにラーン川という川があります。ドイツ東部中央を流れていて、ウェッツラー(Wetzlar)やリンブルグ(Limburg)などの都市を通りコブレンツ(Koblenz)でライン川と合流する川です。

今日はこの川の河口に近いエリアをハイキングします。地名でいうと「バートエムス(Bad Ems)」「ダウゼナウ(Dausenau)」「ナッサウ(Nassau)」を通るルートです。

「ラーンワンダーウェッグ(Lahnwanderweg)」というハイキングコースが走っているので、これの一部をおよそ10km歩き、最後に少しコースを外れて「ナッサウ城」を見学して、列車で拠点に戻る計画です。

思い出保存と情報共有を兼ねて旅行記を綴ります。

適宜、読み飛ばしてくださいね。

本編…汎用的な情報 | …歴史のこぼれ話 | …個人的な感想文 | …行き方や公式サイトの案内

概要

地図

今回歩いたルートは「OutdoorActive」というウェブサイトに登録しています(⇒Bad Ems to Nassau + the Castle)。良ければ参考にしてください。

「OutdoorActive」の基本機能は無料で利用でき、閲覧だけなら会員登録の必要もありません。距離や高低差、道の種類(山道、舗装など)の詳細も見ることができます。

旅した国と地域

国:ドイツ
地方:ラインラント=プファルツ州(Rheinland-Pfalz)
市町村:バートエムス(bad ems)ナッサウ(Nassau)

[町]バートエムス(Bad Ems)

ユネスコ登録、ヨーロッパの温泉保養都市

バート・エムスの町
バート・エムスの町
ラーン川を行く家型ボート
ラーン川を行く家型ボートとスパ・ハウス

バートエムスは2021年7月に、ユネスコ世界遺産の「ヨーロッパの大温泉保養都市群」に登録された町です。この町からハイキングをスタートします。

ヨーロッパの温泉保養都市

駅から登山口に向かう途中、ラーン川に架かる橋からバロック調の建物を見ることができます。18世紀のはじめに、オランイェ・ナッサウ家の女性が建てたというプライベート・スパ・ハウスです。現在はこの建物でホテルとヘルスセンターが運営されています。

※オランイェ・ナッサウ家…現在のオランダ王家につながる家系で、ナッサウ家の支流のひとつ

スパ・ハウス
baroque bathhouse

ヘイカーズグランドホテル
Häcker’s Grand Hotel
公式ウェブサイトhttp://haeckers-ho...ems/hotel/
Römerstraße 1, 56130 Bad Ems, Germanyhttps://goo.gl/map...UAFBcU5zk6

マハリシアユルベダヘルスセンター
Maharishi Ayurveda health centre
公式ウェブサイトhttps://ayurveda-badems.com/

歴史:バートエムスの「温泉」略史

バートエムスには、ローマ時代にカストラ(軍事防衛拠点)が築かれていたことがわかっています。でも残念ながら、当時の遺跡はほとんど残っていません。

中世にこの地を治めた領主が「浴場」を再建して、上流階級の来客をもてなしていた記録があるそうです。17~18世紀になると、バートエムスはドイツで最も有名な温泉保養地となって、19世紀にその全盛期をむかえました。

「夏の保養地」として人気を博したバートエムスには、ヨーロッパの君主や、有名な芸術家もやって来たそうです。たとえばドイツ皇帝ヴィルヘルム1世 、ロシア皇帝ニコライ1世とアレクサンドル2世、そしてドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー、ロシアの作家ドストエフスキー、ロシアの画家ヴァシーリー・ヴェレシチャーギンなどが挙げられています。

ウィキペディア(独)で「ドストエフスキー」のページを見ると、「肺気腫の治療目的でバートエムスを何度か訪れた」と書かれていました。

[ハイキング]バートエムス(Bad Ems)⇒ ダウゼナウ(Dausenau)

標識を見てナッサウを目指す
標識を見てナッサウを目指す

日記:日曜定休の店が多い

今日は日曜日。駅を出てあたりを見回すと定休のお店が多く、数件のパン屋もみんな閉まっていました。山の上で食べるパン(弁当)を買おうと考えていたけど、叶わず。途中で通る町ダウゼナウで何か手立てがあることを期待して、山に向かいました。手持ちの食料は、食べ残しのパンのハシ切れと、数本のサラミ。本当は十分な非常食をもって入るべきです…。

ツーリストオフィス

バートエムス(Bad Ems)にはツーリストオフィスがあり、土日も開いています。紙の地図や気になる情報を収集できます。

バートエムス地域観光局
Touristinformation Bad Ems

月-金:9:00-17:00|土日:10:00-14:00
Bahnhofplatz, 56130 Bad Ems, Germanyhttps://www.google...2993?hl=en
公式ウェブサイトhttps://en.badems-...nformation

日記:思い込みによる失敗

私たちは「日曜日に開いているツーリストオフィスなんてない」と思い込み、バートエムスのツーリストオフィスの存在を知ることなく通り過ぎてしまいました。

登山口

標識に従って登山口を目指すと、コンクリートの建物に行き当たります。ちょっと廃墟っぽい雰囲気で躊躇しますが、建物の中の階段を最上階まで登ってみると、山につながる通路がありました。ユニークな登山口です。

登山口
コンクリートの建物の入口
建物の中の階段が山に続いている
建物の中の階段
建物の屋上から山へ続く通路
登山口
山道

ラーンワンダーウェッグ(lahn-wanderweg)

今日歩くコースはほぼ「 ラーンワンダーウェッグ(lahn-wanderweg) 」というハイキングコースです。標識に従って進んだので、この先は迷うことはありませんでした。いくつかビューポイントがあり、バートエムスの町を見渡すことができます。

標識
lahn-wanderweg これが今日のコースの目印
ドイツ語で書かれた解説板
見晴らし台にある解説板
山頂付近からの眺め
バート・エムスの町を見下ろす
山頂付近は丘のよう
ちいさな牧場エリアを通過
ローマ時代の遺跡⁉(違)

[町]ダウゼナウ(Dausenau)

中世の風景がのこる山間の町

Dausenau 中世の面影を残す町に到着
市壁の中に家屋が並ぶ
中世の町のゲートのひとつ

バートエムス(Bad Ems)から ひと山 超えると、ダウゼナウ(Dausenau)の町につきます。中世の面影が保存されている、小さく素敵な町です。

Wikipedia(独を翻訳)によると、この町が初めて文献に登場するのは13世紀のこと。このあたり一帯はヨーロッパの有力貴族のひとつ「ナッサウ家」の領土でした。

この町に遺る市壁の一覧が掲示されていました。

市壁の一部が遺っている
ラーン川に架かる橋から

日記:あと1時間ほど早く出発していればよかった

私たちがバートエムスを出発したのは10時半。ダウゼナウに着いたとき、すでに12時をすぎていて、目標地点「ナッサウ城」までの距離を考えると、この中世の町をじっくり観光するじゅうぶんな時間はとれない計算でした。

手持ちの食料が少なかったために、とんでもなくお腹が空いていて、はやく食事にありつきたい思いもありました。後ろ髪をひかれつつ「中世の町」を後にしました。ラーン川に架かる橋からの眺めも素敵でした。

あと1時間ほど早く宿を出発していればよかった!バートエムスの町もちゃんと観光したいなら、さらに早く…!と言いはじめるとキリがないのだけど。

町でほぼ唯一のレストラン Pizzeria Cafe Ristorante Roma

唯一開いていたレストラン

今日は日曜日。唯一開いていたレストラン「Pizzeria Cafe Ristorante Roma」は、「中世の町」の対岸にありました。

テラス席があり、地元のお客さんと思しき人たちがいくつかのテーブルを囲んでいて、予約席もありました。直系30cmのピザが、お客さんひとりひとりの目の前に運ばれてきます。本格的なピザ。美味しそう。でも、きっとその半分ほどしか私たちの小さな胃には入らない。

30センチのピザを2人でシェア
帰路:下半身を鉢にしようと考えたセンスに脱帽

ダウゼナウのイタリアンレストラン
Pizzeria Cafe Ristorante Roma

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目安:2名€25~30
Hallgarten 16, 56132 Dausenau, Germanyhttps://www.google...0445?hl=en
公式ウェブサイトhttp://www.ristora...usenau.de/  

日記:サービス精神旺盛な陰キャの悩み

忙しく動き回っているオーナーが、私たちのテーブルを横切るときに、不慣れな英語で「彼はアメリカから来ている」と告げていきました。

え?何のこと⁉とびっくりしていると、11-13歳と思しき一人の少年がやってきて、慣れない手つきで私たちのお皿とグラスを片付けはじめました。

あ!オーナーはこの少年のことを「紹介」したのか、と合点がいったものの、でも、なぜ?

入店したときに見たこの少年は、空いた席で少し退屈そうにポータブルゲームをしていました。オーナーと少年の関係はわからないけど、おそらくホームステイか交換留学生、あるいは親戚の子かなぁ。

ここで、わたしの妄想力がフル回転しました。

オーナーは忙しいから、この少年が退屈しないように、また滞在の体験のひとつとして、お客さんと軽い会話が生じればいいなと期待されているんじゃないかしら!

夫はトイレへ行って席をはずしていました。期待に応えたくなった私は頑張りました。

私は「アメリカから来たのね?」と声をかけてみました。「カリフォルニアから」と返ってきました。州の名前だということはわかりました。でも私の頭一杯に ” カリフォルニアロール ” が並ぶだけで、カリフォルニアについて気の利いたひとことも言えず、早々に詰みました。

結局わたしは、自分は英語を勉強中であるが、いかに話せないかという言い訳をまくしたてました。焦って手が激しく動いて、千手観音みたいになっていたと思います。

少年はほんのり笑みを浮かべた状態で、わたしの様子を見ていました。

私は最後に、グラスに少し残っていたビールを一気飲みして「Thank you!」と笑顔でグラスを渡しました。

少年がちょっと楽しそうに笑ったのがせめてもの救いです。

のちほど冷静をとりもどしてから振り返ってみると「ホームステイ?」とか「ドイツ語を勉強してるの?」とか「ドイツは楽しい?」とか質問すればよかったなと思いました。それなら、少年も話してくれるだろうし、カタコトでもリアクションとかでコミュニケーションが成立したかもしれません。

なんなら「カリフォルニアロールっていうお寿司、知ってる?」って聞いてもよかったかもしれません。

なんだか顔から火がでる思いで店をあとにしたのだけど、べつにそれほど恥をかいたわけでもないのにね。語学力が足りないのもさることながら、会話を展開する才能がないことが、致命的だなと思ったのでした。

[ハイキング]ダウゼナウ(Dausenau)⇒ナッサウ(Nassau)

引きつづき ラーンワンダーウェッグ(lahn-wanderweg)

標識に従って歩くと、登山口に至ります。引きつづき「ラーンワンダーウェッグ(lahn-wanderweg)」を歩きます。

標識

高低差230メートルほど、緩やかな上り坂の山道がつづきます。頂上はフラットな印象。

川から見上げると「山」ですが、のぼってみると平地がどこまでも広がっているような風景にかわります。日本でイメージする「山」とは、すこし違いました。

山歩きらしい風景
山頂が丘のよう…
赤ナメクジ…ナメクジに見えないが
伸びるとナメクジ(大人の人差し指より長い)
山頂に見えるのがナッサウ城
山らしい坂道
緑に囲まれる幸せ

ナッサウ城:オランダ王家ゆかりの城

ナッサウ城は、山らしい山の頂上にそびえています。

敷地内には素朴なカフェがあります。私たちは水筒のお茶を飲み干し、とても喉が渇いていたので350mlのノンアルコールビールを一気飲みしました。このカフェではカードは使えず、現金のみです。

閉城時間が迫っていたので、塔の中へと急ぎます。

ナッサウ城の門
ナッサウ城の塔
塔の螺旋階段
塔のてっぺん
ナッサウ城の塔から
ナッサウ城の塔から

ナッサウ城は、歴史は古いですが、いまは城跡に修復された塔が遺るのみで、見た目は質素な印象です。派手なお城が好みの人にはお勧めしづらいですが、わたし個人的には、観光地化されすぎてないところが心地よく、好きな部類に入ります。

またナッサウ城は元祖ナッサウ家の拠点という意味でも興味深いです。

ナッサウ家には支流が多く、そのひとつにオランイェ・ナッサウ家があります。この家系が、現在のオランダ国王と、ルクセンブルク大公につながっています。

塔の中腹には部屋があり、小さな博物館になっています。城の歴史について書かれているのだと思いますが、ドイツ語とオランダ語のみです。英語はありません。

読めないので、ウィキペディア(英)に頼ります。

歴史:ナッサウ家とナッサウ城

ナッサウ本家の始祖とされているのは、ドゥード・フォン・ローレンブルク(Dudo von Laurenburg)なる人物です。オランダ国王のご先祖様にもあたるこのひとが、1100年頃に、ここに城を建てたのがナッサウ城の始まりです。

当初は司教領の一部だったので、いろいろと確執があったようですが、やがて決着がついて、この地域は同一族の領土となりました。そのときに「ナッサウ伯」の称号を得ました。

1255年に同家の兄弟が領土を分割するのですが、ナッサウ城は分家との「共有資産」となりました。ドイツではよくある形態だそうです。中世の終わり頃まで、ナッサウ伯が代々ここに暮らしました。

17世紀のエッチングには、まだ保存状態の良いナッサウ城が描かれています。1905年に撮られた写真では、廃墟になっていました。かろうじて残っていた城壁なども、第二次世界大戦のときに破壊されてしまいました。

1965年に州の管理下におかれ、1976年から1980年に大規模な修復が行われて、現在にいたります。

17世紀のエッチング
出典 Wikimedia Commons

ナッサウ城
Burg Nassau

水-金:13:00-18:00|土日:11:00-18:00
月火定休|4月-10月中旬のみ開城
Glockenstraße, 56377 Nassau, Germanyhttps://www.google...!1e4?hl=en
http://www.burgnas...ranien.de/

ちなみに、オランダ祖国の父と云われ、オランイェ・ナッサウ家の始祖でもある「ウィレム寡黙公(1533-1584)」は、ディレンブルフ・ナッサウ家の生まれです。彼が生まれたディレンブルフ城は、もう少し北にあります。

ナッサウの町は市庁舎が印象的

市庁舎

ナッサウ城から駅を目指して下山するとナッサウ(Nassau)の町に出ます。ドイツらしい市庁舎が目をひきます。ほかはとくに、気になる景色には出会いませんでした。

カフェやレストランがにぎわっていました。ここで夕食をとって帰ることもできそうですが、私たちは足早にひとまわりして、拠点のラーンシュタイン( NiederLahnstein )に戻りました。

2年ぶりの山歩きで疲れてしまったので、夕食はテイクアウト品をアパートでリラックスしながら食べたいと思いました。

本日の行程

2021年9月日曜日 おおむね晴れ

時刻内容
10:16 - 10:30[鉄道]NiederLahnstein 駅発 ⇒ Bad Ems 駅で下車
10:30[ハイキング] Bad Ems・・・Dausenau(1.5h)
13:00[昼食]Dausenau のレストラン
13:30 - 18:50[ハイキング]  Dausenau ・・・Nassau(4h)+ ナッサウ城の見学
18:50 - 19:10[鉄道]Nassau 駅発 ⇒ NiederLahnstein 駅着 (所要20分)
20:15[夕食]テイクアウトのケバブ

明日は、メジャーなお城「エルツ城」をめざして短めのハイキングを楽しみます。

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